中国の受験事情、一人っ子政策で受験戦争は幼稚園からに!
大学への進学率
中国の大学への進学率は年々高くなっていますが、都市部と農村部では進学率が大きく異なっています。
中国には「都市戸籍」と「農村戸籍」という戸籍制度があるため、両者の間に“教育格差”が存在するからです。
農村に生まれた者は都市へ引っ越すことは許されず、簡単に這い上がることができません。
中国人は学力が高いと言われていますが、それは「都市戸籍」を持った一部の学生に限られているのです。
中国大学の教育格差
中国の大学にも“教育格差”は存在し、有名大学に入学した者はエリートです。
有名大学に進学できれば、大企業にも就職できますが、有名大学は難関大学であり狭き門でしょう。
大企業もまた「都市戸籍」を優先しますから、普通の大学に入った学生は中小企業に就職するか、農村部で農業などをするしかなくなります。
中国では就職できない若者も多く、親の経済力に依存する「こう老族」や大学を出ても勤め先のない「蟻族」、または「鼠族」などと呼ばれる貧困層が社会問題となっています。
中国の受験戦争
中国の受験戦争は幼稚園からはじまると言われており、一人っ子政策以降、子供の教育に期待をかける親が多く、競争が激化しています。
有名大学は「重点大学」と呼ばれますが、重点小学校や重点中学校もそれに続きます。良い大学に入るために、子供達は幼稚園から熾烈な勉強と競争を強いられます。
中国と言っても国土が広いので、土地によって受験の難易度が異なるため、我が子の受験のために引っ越しをする家族もいるようです。
ただし、中国には戸籍制度があるから、農村から都市へは簡単に引っ越せません。引っ越しができるのは、都市に住む一家に限られます。
受験地獄で自殺する子供についても報道されていました。試験に落ちればその後の人生設計が成り立たなくなり、絶望してしまうからでしょう。
中国では、受験がその後の人生を左右すると言っても過言ではありません。
中国の就職時期
中国の大学生が卒業するのは6~7月なので、中国企業は前年の秋頃に面接を行います。
卒業までに内定が決まる学生は、全体の半数以下と言われていますが、比較的仕事が決まりやすいのは理系の学生ということです。
多くの大学生は大企業を志望していますが、大企業の採用試験に落ちた学生が中小企業に就職したとしても、一年以内に辞めてしまう学生も少なくありません。
高学歴ほど失業率が高いというデータもあります。大学を卒業しても、給料が学歴に見合わなければ辞めてしまうということでしょう。
就職できない学生は?
就職できない学生はどうするかというと、公務員試験を受けたり、ベンチャー企業を立ち上げたりするようです。
ほかには、海外留学する学生や大学院に進む学生もいます。就職できないことで大学院への進学を希望する中国人の数は、年々増えています。
海外留学した学生は、留学先の国でそのまま働くことがありますし、大学院に進んだ学生は教師や研究職に就くなどの進路を選びます。
中国版ニート「こう老族」
日本では、就職できない学生が家に引きこもる「ニート」の存在が社会問題になっていますが、中国も同様で、彼らは「こう老族」と呼ばれます。
中国は家族関係を大切にする国民であり、子供が就職できないとなれば、家に帰ることを奨励する親もいるとのことでした。
中国では1979年に、「一人っ子政策」という産児制限が施行されており、急速に少子化が進んでいます。
一人っ子を大事に育てる教育が進んだ影響で、職に就かずに親元で生活する状態が続き、これが社会問題となっています。
また、「蟻族(ありぞく)」と言って、これは大学を卒業しても良い仕事に就くことができない若者を指します。
蟻族が大量に生まれた原因として、私立大学が急増して入学する学生が増えたことがあげられていました。